コラム

ファツションと自己の感性

 ファッションに関して、女性ならば好きなブランドは当然ある方も多いかと思う。また、好きなタレントやモデル、女優など、「ああ!いいな!」と思い、自身のファッションのベースにしている方も当然いるかと思う。
 
 では、男性陣はどうであろうか?好きなブランドは、女性に比べ「あまりない」と応じるのが大多数でもあろう。ファッションに関しても自身が、衣服を、某有名人を参考にコーディネトしている方も当然極少数派といってもよろしかろうと思う。
 
 それでは、私流にファッションに関して申すとすると、Lブランドだから、Bブランドだから、Jブランドだから、Mブランドだからといって購入する、そのアパレル主義者ではない。よく中年オジサンのファッションを注視すると、Lブランドだけいつも身に着けている連中、Bブランド支持者など、そのブランドならばなんでもいい、そう感じて衣服を身にまとっておられる方が非常に目に付く。確かに、LやBブランドを身に着けていれば大方は、センスの平均点はクリアーしてもいる。車なら、BMWやベンツに乗るメンタルと似てもいよう。この点、女性も、自身の好きなブランドだけが詰まった正月の福袋などを購入して、ご満悦の女性などテレビでよく見かけるが、中身が何なのかもわからず、「お得だわ!」といったコスパ感覚で購入するそのメンタリティーが私には理解できない。古代や中世の男女の結婚でもあるまし、貴族の女性、皇族の女性だからといって顔も姿も知らず、ただ高貴なる家柄の女性だから結婚する心根と同じものを感じずにはいられないのである。
 
 こうしたファッションにおけるブランド志向、ブランド至上主義こそ、熱狂的に、ある球団のファンであること、それと似ていると言わざるをえない。
 
 私は特定の球団ファンではないが、ある選手のファンではあると語った所以と同じものが、ファッションに関しても言えるのである。
 
 以前ある知人の前で、某ブランドは嫌いではない、好きですと言った後、お中元にそのアパレルブランドのシャツを頂戴したことがある。封を開けてみて、その色やデザインが私の好みにはどうも合致せず、それ以後、その方には申し訳ないが、ほとんど着てはいない経験がある。衣服の贈り物は難しいものだと実感した記憶がある。このアパレルメーカーが球団であり、その知人が選んだシャツがその球団の選手でもある。ここが、私が野球の球団のファンにはなれない奥深い所以でもある。天の邪鬼と言おうか、個人主義者と言おうか、集団というものに馴染めない気質でもある。
 
 今年亡くなった、ファッションデザイナー高田賢三のブランド“KENZO”が大手アパレル企業に売却された後、高田氏本人が新たな自身のブランド“K3”を立ち上げたそうだが、その本人のブランドは一向にぱっとせず、自身の手を離れた“KENZO”ブランドが売り上げを上げるという奇妙な現象に「ブランドイメージとはこういうものなのかな!」と高田氏本人は嘆いたそうである。ココシャネルとて同じである。彼女が亡くなって、そのブランドはモンスター化して急成長した経緯は、ブランドというものの皮肉な宿命を物語ってもいる。
 ファッションとて私には、その印籠、錦の御旗は通用しないのである。いいいものはいい、好きでないものはダメ、こうした自身の判断基準が、他人にはどうも“へそ曲がり”と思われる節があるが、某有名人が「好きなタイプは?好きな女優さんは?」と質問されて、「いません、好きになった人が理想的な人です」と応じていたことが非常に印象的でもあった。まさにその通りである。ブランドだからいい、AKB、乃木坂だからかわいい、ジャニーズだからかっこいい、こうした集団ブランド幻想といったものが、どうも、大衆心理を操作しているように思われて仕方がないのである。
 
 この点では音楽業界も同様である、独断と偏見と自身の感性を信じて申しあげれば、今流行りの米津玄師、椎名林檎、キングヌーなど業界神話、情報操作ではないが、彼らには非常に音楽的才能がある、歌唱力もある、そうした“ミュージシャンとしてブランド”が先にありき、そこから、歌曲そのものに下駄をはかせてセールスして、そして、ブランド服のようにファンを増殖させているように思えて仕方がないのである。これこそブランド幻想音楽マーケティング戦略なのかもしれない。
 
 おじさん連中でファッションに少々うるさい方は、『メンズクラブ』から『ゲーテ』に至るまで、何らかの雑誌やちょい悪おやじの風貌の有名人などを参考に衣服をそろえてもいよう。その筋の業界人が多いようである。おそらく、男性は、女性に比べモデルや俳優などのファッションを参考にする方など、極々少数なはずである。
 
 有名タレントや知識人などテレビ出演していても、背広姿であるか、もしくは、番組提供のアパレル会社がバックにいて、その人物にコーディネーターが当座の服を着せているに過ぎない。「男性で参考になるファッションの有名人は?」と質問されても、恐らくほとんどの方は「誰かな?いないな!」と口ごもるに違いない。それほど、テレビ、メディアに出演する男性でファッションのお手本となる人物はいないものである。
 では、恥ずかしながら、私個人として、いつも「いいセンスの服を着てるな!」と感じ入ってしまう有名人を3人挙げておく。それは、宗教史学者の中沢新一、日本画家の千住博、そしてミュージシャンの山下達郎である。こうした、非メディア系の人にこそ、私服にその人のセンスの良さが、ピカッと輝いて見えるのである。
 

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