コラム

外山滋比古氏を偲ぶ

 2020年に亡くなられた外山滋比古の超ベストセラー本『思考の整理学』の中の名言であります。
 
 「何か考えが浮かんだら、これを寝かしておかなくてはならない」
 
 「いい考えが得られたら、めったなことで口にしてはならない」
 
 デジタルかぶれの部族は、すぐにスマホでツイートしたりする。真の現代の哲学者や思想家、さらに、学者や小説家は、以上の格言を、無意識に遵守しているはずです。
 
 「よく切れる包丁ほど、さびやすい」
 
 スマホという超便利な文明のツールを肌身離さず、恋人のように持ち歩いている部族に捧げる言葉です。スペースシャトルが終焉しながらも、ソユーズロケットが今も使用されている<文明の進化の皮肉>といったものが該当します。この言葉で、吉田兼好の名言を思い出した。それは「よき細工は、少しに鈍き刀を使ふという 妙観が刀はいたく立たず」である。
 
 「思考の整理には忘却がもっとも有効である」
 
 なんでもかんでもやたらとスマホで写真を撮り、何百枚、何千枚と二度と見もしないデジタル映像をスマホに温存している若者は、その場の生の感動を脳裏に焼き付けることもできず、中途半端に忘却もできない“思考の迷える子羊”である。

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