コラム

語学(英語)の教祖さまが登場するビジネス誌4月号

 新年度、4月になるとNHKの語学テキスト、特に英会話のものなど一年のうちで突出して売れる。そう、「今年こそは、今年度こそは」と意気軒昴に語学の上達に燃えて、大方は仕事とは関係なしに、趣味か娯楽か、ちっとした教養的たしなみかは存ぜぬが、社会人が語学のお勉強を始める。
 しかし、5月、6月とテキストの売れ行きは尻つぼみに減ってもゆく。自覚・覚悟なしに漠然とした動機から、「ちょっと語学(英語)でもできるようにならなくては!」的ミーハー根性からは、三日坊主ならぬ、三月坊主となるのが落ちでもある。
 こうした、語学のカモ連中を狙ってか、マーケティングしてか、ビジネス系の月刊誌が英語特集の企画を組む。今春もさっそく『プレジデント』4月29号で次のような題目のキャチーな見出しで、780円の雑誌を購入させようとする目論見がもろに露わとなった。
 
 ついに話せる!
 テキスト1冊でぺらぺらへの道
「英語」レッスン革命 3日坊主にならない“新しい学び方”
 
 有隣堂の雑誌コーナーで立ち読みしてみたが、相変わらず、英語の達人(?)たちが、“我の方法を事細かく伝授してさしあげん”ばかりの記事が、ああでもない、こうでもないと、まるで実用英語・教養英語の“社会人の教祖さま”面で、悩める英語道の衆生をお助けしてさしあげんばかりの口吻で、自説を語っている数十ページは、女性ファッション誌の占い特集・トレンド特集に比肩するほどに見えてしまう。
 
 この29号の雑誌の副題からして、眉唾もの、胡散臭い、霊感商法まがいのコピーのオンパレードでもある。
 
 学生、新入社員、マネージャー、シニア必読!
 最新脳科学でスイスイ!「英語脳」をつくる7つの習慣 
 楽しく!ムリせず続けられる!
 中学英語「学び直し」上達マップ
 
 コロナ禍で、英語を使う場面が増えている!
 
 こうした文言のオンパレードである。英語コンプレックス組、英語負け組、英語憧れ組、こうした大学生以上の、<実務・仕事・会社・同僚・転職・就職・昇進>などと英語を結び付けて考えてもいる連中にとっては、新興宗教の「信ずる者は救われる」とも目に映るおまじないでもある。「これを実行すれば英語ができるようになる」そう錯覚、幻想を抱かせる雑誌の特集である。毎春4月ともなると、このようなビジネス雑誌の特集が、NHKのカムカムエブリバディの朝ドラではないが、そうした一般大衆に“淡い夢”を抱かせる雑誌の特集が少々鼻白む今日この頃である。

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