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2020年の英語大改革(改悪)という'病'への処方箋【後編】

|ある程度以上の、文法・読解能力さえ持ち合わせていれば、センター試験・英検2級程度のリスニングは、屁もなく了解できてしまう

センター試験における、英語対策なるものと生徒の相関関係を申し述べるとします。
これは、2020年からの英検対策やTOEIC対策にも同じ現象が生じると予想されるから、参考までに言及することにします。

国公立大学志望の、それもあるレベル以上の生徒は、センター試験の英語対策など、ほとんどしてはいないのが実態です。
大手の予備校のセンター試験対策講座など、どの程度のレベルの生徒が受講しているか、想像に難くありません。
それに、センター試験対策講座の数がどれほど予想外に少ないかとお気づきの方も多いかと思います。
しかも、センタ一試験のリスニング対策も同様です。
私立の、また公立でも、早慶以上の大学を合格できる生徒は、わざわざ、手取り足取り、センター試験レベルの英語の授業指導は、不要なはずです。
単刀直入に申しあげると、ある程度以上の、文法・読解能力さえ持ち合わせていれば、センター試験のリスニングや、英検2級程度のリスニングは、屁もなく了解できてしまうのです。
理由は、前者は、せいぜい短大から大東亜帝国レベルの英文が朗読されるのであり、後者は、英検3級からせいぜい準2級レベルの英文が読み上げられるからなのです。
出来る高校3年生に、中学3年から高校1年程度の教科書を音読しても、だいたいその内容意味を了解できてしまうのと同じことです。
やはり、<話し・聞く>以前に<読み・書き>を徹底に叩き込まなくてはならないのです。
このまっとうな指導を行っているのが、世に名の知れ渡る私立の超進学校なのです。


|まとめ
最後に、以上の論旨とほぼ同様な、その業界筋のプロの方の発言を添えて本章を終えたいと思います。

ジャパン・タイムズ紙が発行している、『ST』、いわゆる『ステューデント・タイムズ』という学生向けの週刊英語新聞が、今般の2020年英語改革に影響されてか、題名を『Alpha(アルファ)』に変えて、紙面を大改変することになり、その『ST』の最終号(2020年6月29日号)で、「さよならST」特集スペシャル対談と称し、TOEICテス トを普及する国際コミュニケーションズを経て、現在、英語教育コンサルタント会社(株) アイ・シー・シー代表取締役で、英語トレーニング指導法の第一人者でもある千田潤一氏と東進ハイスクールの英語講師安河内哲也氏の対談の一節を取り上げたいと思います。

千田:企業の研修でTOEIC200~300点台の英語難民にスピーキング指導しても、多くの人が尻込みしてしまいます。
私はスピーキングの代わりにリスニング教化法を、ライティングの代わりにリーディング教科法を教えます。
このレベルの人に最初からアウトプットを強要するのは、歩けない子供にいきなり走れというようなものだからです。
私は、 TOEICの一番の対策は、対策をしないことだと思います。
TOEICは音読と速読が基本です。
速読力が付かなければ、リスニング力は付かない、音読できない英語は聴けない、読むスピード以上の英語は聴けない、ということをいつも強調しています。

安河内上智大学に進学すると周りは帰国生ばかり、スピーキングができなくて、英語へのコンプレックスが高まりました。
しかし、在学中にアメリカを旅しながら、ノンネイティヴの人たちが英語で議論している姿に触発され、自分もとにかく話してみようと思い、話すようになりました。
大学在学中に英検1級まで合格しましたが、きちんと話せるようになるには10年ぐらいかかりましたね。

以上の2氏の発言でわかることは、常々、私の塾の生徒やそのご父兄に申しあげていることですが、次の3点に集約できるかもしれません。

(1) 学校では、徹底的に、<読み・書き>を教え込み、その自宅復習で音読・リスニングを実践させること⇒英文法・構文・読解の大切さ
(2) ”学校で使える英語なんて幻想だ!”ということ
(3) 英検○○級が、TOEIC△△△点が、即、その人の”使える英語力”・”真の英語力”とは限らないということ


では、最後に、学校や塾・予備校で喧伝されている<読み・書き・話し・開く>の4要素を教えるべき論への反論を申し述べることにしましょう。
『国家の品格』(新潮新書)で有名になった、お茶ノ水女子大名誉教授の数学者でもある藤原正彦氏の意見、近年、小学校英語への反対論者の急先鋒でもあり、2018年3月号の『文藝春秋』に寄稿した「小学生に英語教えて国滅ぶ」でもお読みいただくと、国の方針に賛同するコリコリに固まった実用英語主義者の、石頭ならぬ“凍頭”が氷解することでしょう。
彼の一貫して譲らない主張、

「小学生で大切なのは、一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、英語・プログラミング(パソコン)、そんなのどうでもいい!」

これに準えて、敢えて、中学高校時代の英語学習の心得・原則は、次の点に尽きるのです。

「中学英語で大切なのは、一に初級文法、二に初級文法、三、四がなくて五に音読」
(初級文法とは英検2級までの、話したり・聞いたりする為の話しことばを前提とした英 文法のことである)

「高校英語で大切なのは、一に中級文法、二に構文・読解、三、四がなくて五に英作文」
 (中級文法とは、英検1級や難関大学の英文を完璧に読み込める英文法のことである)

以上の、理念・ポリシーに共感・共鳴・同感される、生徒、ご父兄・親御さんの方は、ぜひ英精塾のドアを叩いてみてください。

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