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消費税は日本人には合わない!

世界の常識は日本の非常識<PartⅠ>
 
 独断と偏見を覚悟の上で、消費税というものを語ってみたいと思います。いよいよ、消費税が来月にも10%になります。一部の経済評論家からは、景気のブレーキとして、さらに、景気が悪化する原因として懸念されてもいます。消費税引き上げ反対論者として、京都大学教授藤井聡氏{第二次安倍内閣・内閣官房参与}などはその急先鋒です。
 そもそも、私は、エコノミストでも政治評論家でもないので、専門的なことは述べられませんが、素人なりの直観には自信があるつもりです。大衆というものの最大公約数的建前や最小公倍数的本音を感じ取る嗅覚のようなものです。そのアンテナから日ごろ感じていることを率直に語ってみたいと思います。
 消費税とは、1954年フランス人によって編み出された間接税の一種です。これを、大平内閣、中曽根内閣、そして竹下内閣と芋虫、蛹、そして蝶といった順序で世に出されたきたものです。時の大蔵省が、高度経済成長が終わった後の直接税の収入の限界を知ってか、欧州で実施されているこの消費税というものを、投網の如く、広く浅く国民に負担してもらおうという目論見で現実化されたものです。当初の「3%くらいなら」と、国民は仕方ない感覚で、高をくくってもいたのでしょう、バブル前夜でもありましたし、容認し、購買意欲にさほど影響もなかったやもしれません。一円玉の需要が急激に増し、煩雑さばかりが増した感が否めませんでした。しかし、やはり導入される以前、売上税という名称やらで、中曽根内閣で頓挫し、竹下内閣でやっと消費税という形で日の目を見ました。
 本来、この消費税という制度は、極論ですが、日本人の気質や精神に合わないものであるということを個人的ながらうすうす心に感じてきた次第です。それは、江戸時代に生まれた、儒教と武士道、そして商人道(※特に石田梅岩の心学)の申し子、つまり、勤勉の根底にある<倹約と節約>なる精神がもとにあるからです。これが、現在の日本人の‘もったいない’の精神へといい意味でも受け継がれてもきたのです。その象徴として、世界一の貯蓄大国、1800兆円もの国民資産として存在してもいます。また、リーマンショック以来、大企業の内部留保が莫大な額にまで膨れ上がって、「いざという時の蓄え」という企業題目として、国民一人一人の<倹約・節約>の心得が企業レベルで行われていることは、法人も個人も、ムダ金は使わないという精神で消費を冷え込ませる国民性の一部になっています。大企業(トヨタなど)は業績が上昇しても賃金のベースアップではなく、ボーナスで還元する姿勢{※大企業のいざという時の防衛策}、また、中小企業の社長(雇い主)は、数名から数十、数百人の日本人の社員(正規・非正規の両方、特に後者)の給料・賃金を上げるのではなく、アジアからの出稼ぎ労働者を低賃金で雇用する姿勢、高額の同胞の日本人労働者ではなく、低額の外国人労働者を不法就労させた方が‘得だ!’と考える一部の土木建設業関係者など有名です。大企業から中小企業の雇い主の姿勢からして、‘お金を支払う姿勢がセコイ’のです。経済の循環(貨幣の流通)、お金という血液の社会へのすみやかな流れが‘健康的’に機能するはずもありません。
 日本人は、世界一‘目と舌’が肥えた国民とも言われています。欧米の大企業で、アジア進出する段階で、衣料品(ファーストファッション)、食料品(ファーストフード)、サービス(最高級ホテル)などは、まず日本で実験的に第一号店を出し、それで成功すれば、日本国内はもちろん、アジア諸国への拡大戦略へとゴーサインが本社から出されるとも言われているくらいです。ビジネス成功のリトマス試験紙が日本の消費者なのです。
 こうした国民性は、なかんずく、日本人は、モノやコトを前にして、いったん、価格とその対象物を熟慮する、天秤にかける気質が大いにあるという意識行動のあらわれでもあります。モノやサービスを購入する際、この<消費税>というものを強烈に意識する度合いが、世界の中でも指折りの順位、いや、敏感度1位かもしれません。この点こそが、消費税がらみの内閣は、選挙で必ず敗北するジンクスともなり、消費税の5%から8%への引き上げの時も、消費行動の腰砕け現象を招いた主因でもあったことは、様々なエコノミストの指摘するところであります。
 日本人の世界一肥えた‘目と舌’を持つ厳しい国民性に加えて、江戸から連綿と受け継がれてもいる遺伝子とさえいってもいい<節約と倹約>という良き気質が、ネットによるグローバル化する大消費社会・情報化社会の中にあって、悪しきメンタル(=ブレーキ)として機能してしまっているのです。
 この消費税を、全額(100%)、福祉税や年金税として国民に還元する方針・政策にでも方向転換すれば、話しは別です。直接税の補充的間接税として認識しているから、国民の財布の紐が固くもなるのです。軽減税率など唱えても、雀の涙程度も効果はありません。「電子マネー決済だとお得です、割安です」と宣伝しても、40代以上のお金持ち世代は、政府奨励の消費刺激策などに踊らされもしないでしょう。
 結論ですが、正直、この消費税という奴は、日本人気質に合いません。これ以外の税体系を模索しない点が、また、財務省の先見性と革新性のなさの証拠です。年金制度にしろ、税制度にしろ、抜本的に改革しなければならないのは、教育改革より先の案件なのです。
 「日本の常識は世界の非常識、世界の常識は日本の非常識」というジンクス的格言が、まさしく、この消費税に当てはまります。
 江戸時代、華美・奢侈を推奨する田沼時代というものがありました。重商主義による“バブル”時代です。その反動として次の時代、松平定信による寛政の改革が始まります。質素・倹約を重んじる財政引き締め策です。その鬼っ子として、江戸社会に化政文化をもたらします。いわば、江戸庶民に≪粋≫という概念を芽生えさせたのです。質素・倹約社会から生まれた、江戸文化を代表し、今世界中に知れ渡っている、芸者(歌麿)・富士山(北斎)・浮世絵(日本情緒を代表する広重)、日本食(寿司・天ぷら・ウナギ)、衣服のデザインや色柄(パリコレでも日本人デザイナーが武器とするものです)といったものです。
 こうした江戸時代の社会風潮の反転こそ、バブル前、そしてバブル崩壊以後、失われた10年とも20年とも言われている経済停滞時代、それと並行し構造不況からデフレ、そして格差社会へと変貌してゆく過程で、<倹約と節約>という国民のマインドが、鬼っ子としてコスパ(価格を強烈に意識する経済観念)という<経済のブレーキ>ともなる概念に姿を変えて出現したのです。それはリーマンショックで決定的な容貌を現し始めました。
 現代の10代後半から30代前半の若者は、モノを持たない、買わない、欲しいものがない、貯蓄に給与を回す、まさしくバブルを経験した親世代とは経済観念が真逆であります。田沼時代と松平時代との庶民社会においてと相関関係を示しています。こうした若者、時に親世代でさえも染まっているコスパ思想というモンスターに財布のひもを牛耳られているのが、今の日本社会の実相ではないかと思われます。安倍内閣や日銀黒田総裁の唱える政府方針<デフレからの脱却>などは、夢のまた夢であるのが冷静なエコノミストが指摘する通りであります。
 こうしたコスパ思想という卵から孵った文化やビジネス、生活スタイルといったものが、実は、断捨離であり、ミニマリストであり、片付けのカリスマ女性‘こんまり’こと近藤麻理恵氏{『人生がときめく片づけの魔法』の著者・2015年米『タイム』誌の「最も影響力のある100人」にも選ばれた}であり、メルカリというネットビジネスであり、ブックオフに代表されるリサイクルショップの隆盛でもあるのです。こうした大衆の支持を受けるライフスタイルは、モノを買わない、持たない、使わないといった消費行動へのストイックなまでの反省、いや猛省でもあり、モノを買う際に、消費者が強烈に意識する消費税というものがさらに‘サイドブレーキ’をかけていると感じずにはいられないのです。令和新選組の代表山本太郎氏は、先日の参議院選挙で、強烈にアピールしていた点、「日本は、住居費が高すぎる!低所得者の給料の半分が家賃に消えてしまう、このおかしさを解消しよう!」とか「消費税をゼロにする!」と絶叫していた党是などは、国民の半数以上は日ごろ「おかしい、変だ、不満だ」と内心思っていることの代弁であり、一種トランプ大統領的ポピュリスムに感じないこともないけれど、実は、政府の経済政策への極端な異議申し立てとも捉えられなくもないのです。
 アメリカ社会での“こんまり”の支持のされ方は、まさに、<節約・倹約>のジャポニズム旋風です。19世紀に欧米を席捲した芸術のジャポニズが、時代を超えて、倹約ライフスタイルとして現在ブームになってもいるのです。また、メルカリという手法もアメリカで成功するか否かも注目していていいでしょう。しかし、私見ではありますが、“もったいない”という文化的理念から生まれたビジネスモデルは、企業という組織、また文明大国のアメリカでは、受け入れらないと睨んでいます。メルカリが栄えることは、メーカーが衰えることでもあります。カーシェアリングやレンタカー、中古車といったものが支持されると、トヨタや日産のメーカーの新車販売数にマイナスの影を落とすのと同義であります。
 「世界の常識は日本の非常識、日本の常識は世界の非常識」この言葉が経済面で証明しているものが、この消費税という間接税なのです。

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