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英検より数検の未来?

 経団連は4日{2018・12・4}、若い人材の育成と大学教育の改革に向けた提言を正式に発表した。経済のデジタル化やグローバル化が加速するなか、文系と理系の枠を超えてビッグデータや人工知能(AI)を使いこなしたり、リベラルアーツ(教養)を身につけたりする重要性を強調。「情報科学や数学、歴史、哲学などの基礎科目を全学生に必修科目とする」ことを提案した。
 大学側と対話する場も近く設ける。経団連からは中西宏明会長のほか副会長らが参加する。大学側からは国公立大・私立大の学長の参加を広く募る。
 企業側は優秀な人材を獲得する重要性が高まって。採用にあたって新卒や既卒、文系・理系の垣根を設けない通年採用など、多様な選択肢の必要性にも言及した。
 大学側には近い将来に文理融合を含め、学部のあり方などを根本から見直すべだと主張した。学習成果の見える化を求め、成績要件や失業要件を厳格にすることも提案した。
                           『日本経済新聞』の記事より
 
 経団連にしては、珍しくまっとうな発言をしています。少々理想論に走っている点は否めませんが。
 
 この記事に刺激をうけたのか。また、企画のヒントが閃いたのか、二つの大きな雑誌でこの春、次のような企画が組まれました。一方は、バックナンバーで購読できましょうし、一方は図書館などで閲覧などできます。是非一読されることをお薦めします。
 
 『週刊 ダイヤモンド』(2019年2月9日号)
        ビジネス数学 文系でも怖くない~数学はこれからの必須教養~
           ・佐藤優が語る極意 中学高校の数学はこう学び直しせよ
           ・やっと分かった!三角関数、対数…実用数学・超入門
           ・トヨタ、ヤフー ビジネス最先端で使われている数式
 
 『中央公論』(2019年4月号)
         特集 文系と理系がなくなる日~文理融合でǍĪに勝つ~
 
最近、朝日新聞の記事ながら次のような内容も報じられてもいました。
 
 ソニーは、新入社員の初任給を引き上げる。プログラミング言語を使いAI(人工知能)などの分野で新たなサービスを開発できる人材を採用するため、大学院修了など一部の新入社員の年収を能力に応じて最高で730万円と、現在の560万円から3割程度上げる。デジタル分野での人材獲得競争が世界的に激しくなっていることが背景にある。(2019・6・3

 今の大学生は、猫も杓子も、TOEICだの、英検だのと、英語の猛勉強に勤しんでいる就活生が目に付きます。しかし、これからは、英検1級やTOEICのハイスコーは当然のアイテム、さらに、数学のスキル、プログラミングやビジネス数学などが必要な時代がやってもくるでしょう。しかし、依然として、成毛眞氏の弁ではありませんが、「日本人の9割に英語はいらない」同様、「日本人の9割に数学はいらない」ともなることは明々白々です。
 
 エリートと真のエリートのメルクマール(目印)ともなるのが数学です。この点、下世話な事例として挙げられるのが、センター試験で数学が必須な国公立大{横浜国大・千葉大などの経済学部}と、それが不要な私立大学{MARCHの経済学部}です。更に、国立大でも、二次試験に数学が必須の東大{文Ⅱ}とそれが不要な地方の国立大との数学的知的格差・受験差別意識が潜在的にある所以です。これからは、使える英語の技能のブラシュアップを目指す学生は、プラスα、文理融合のスキルを身に付けなくてはならないのです。しかし、経団連の提言のいうところの、大学生に“使える数学”を求めては遅いのです。経団連の提言を実現するには、私の<数学随想①~④>を文科省によって現実化してもらわなければ、高嶺の花・絵に描いた餅になってしまうことを主張しておきます。
 大手企業は、近い将来、TOEICの高得点より、英検1級より、数学検定1~2級のタイトルホルダーに目が行き、そして、履歴書の資格欄で輝きを増す時代が近づきつつあるのです。

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