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「成功は失敗の父」~もし私が校長であれば・・・~

 3月ともなれば、進学校、まあ、大手の予備校などでも、合格者たちが、黒板を背にして、「加藤三郎君 東大理科2類」「山下裕子さん 一橋商学部」「田中圭太君 横市医学部」といった垂れ幕ならぬ、大きな書初め用紙が大きく誇らしげに輝かしく後輩の目を魅了します。その場で、高校2年生は自己を知る、いや、自己の能力の部をわきまえる理性を失います。
 神奈川県のTという進学校{※実はたいていの高校がそうでしょう}が、3月末、大学進学者の合格組を、檀上にあげ、背後には書初め用の大きな和紙に「鈴木太郎君 東大理科1類」「佐藤次郎君 東工大」「中村花子さん 早稲田国際教養」と記したセットを配置し、司会の学年主任の先生らしき人が、高2生を前に、自校の生徒がどれほど努力したか、自校のカリキュラムがどれほど優れているか、さらに自校の教師たちがいかに優秀か、それの自慢話に終始するのがこうしたオリエンテーションの特徴であります。ちょうど、オープンキャンパスで、大学の良いところを高校生にアピールしたり、インターンシップと称して大学生に自社企業の良い面ばかりを見せる姑息な下心と似たものを感じます。
 実は、こうした進学校に関してですが「もし私が校長・理事長だったら、…」という話をします。
 自分の高校の、結果が思わしくなかった生徒、浪人する羽目になった生徒、こうした生徒に図書カードのお小遣い程度の謝礼をあげて、「どうか、後輩たちに君の失敗体験を話してくれないか」いや恥ずかしいなら、失敗の体験記として「悪いけど、後輩に向けて自身の失敗受験勉強法とやらを、原稿用紙2~3枚程度で書いてくれないか」と蹉跌の勉強法とやらを、語らせるシステムを取り入れる。「傷口に塩を塗り込むことをするな!」「自校の恥をさらすことをするな!」と各教科の先生方からやり玉にあがることを覚悟でするのです。
 この失敗体験の事例・データ・意見などが、まさに自校の弱点、自校生の悪い気質、自校生の能力のレベルでもあるのです。失敗した生徒に評価の低い先生は、校長が改善の指導ができる。自校の生徒のレベルと採用教科書や副教材のギャップなどが解明される、自校のカリキュラムの弱点も白日の下に晒される。などなど改善の余地の宝の山ともいえる情報・意見などが白日の下に晒されます。
 実は、成功者の話を参考にしても、その学校の体質改善などにはならないものです。
 T高校の校長が、自校の合格実績を誇らしげに自校の生徒に喧伝しても、その後続の高1、高2の後輩たちは、この勉強の流儀など当てはまらない場合が多いものです。その失敗確率は6割以上でしょう。しかし、失敗体験を数多く知れば知るほど、そのルートを生徒は避けようとします。すると、その成功確率は6割以上になるものです。これは、飽くまでも私個人の雑駁なる個人的勘で申し上げているまでです。誤解なきように!ここにこそ、「失敗は成長の母」「成功は失敗の父」の格言の所以があるのです。
 プロ野球に入り、数年で終わる人、10年続く人、15年以上活躍できる人、この違いは、巨人でいえば、読売グランドでチームお抱えのコーチだけで練習をしている人、自宅近くのトレーニングジムと契約し、自腹で筋トレなどして、自身のフィジカル面のチェックを怠らない人、更には、プロのアスリート専属トレーナーと個人契約し、独自のメニューに基づく体幹トレーニングなどを行っている人、これら{※高校生とアスリート}は概ね対応していると思われます。極端ですが、イチローとオリックスやマリナーズとの関係に思いをはせれば納得できるはずです。一流は、集団以外で個人で自腹を切り自身のスキルの向上に精進しているものです。学校の勉強だけの人、自分で学校の教材以外に独自で勉強している人、更には、塾・予備校{鉄緑会・駿台・河合}など学校以外の鍛錬の場に通っている人、こうした喩えもまんざら嘘とも言えず、該当しているものです。
 毎年『サンデー毎日』などに4月に掲載される日本中の3000校あまりの合格実績などが世の親御さん、学校関係者などの耳目を引きます。しかし、その学校自身のカリキュラムのみで、そうした合格実績をあげている学校がどれほどありましょうや。世は“塾歴社会”(おおたとしまさ氏の用語)と言います。今や、ダブルスクール族の身分でない限り、自身の希望する学校には、まずおぼつかない世知辛い世の中になっているのです。ある意味、文科省・国の責任でもあります。ほとんどの高校は、特に、公立に関してでありますが、自校の生徒が、有名な塾・予備校に通って希望を叶えているのです。しかし、その生徒の属する学校では、自校の生徒のどれどほの数が、何年生から予備校や塾に通い、学校とは別に個人でどのような問題集や参考書を使用し、さらにネットやスマホでのどのような画像授業を受けているるのか、おそらくそうした受験情報把握はしていないことでしょう。ただし、各教科の担当の先生は意外にその辺は生徒にプライベートに聞きただし知っている方も多いやもしれません。つまり、私が言いたいのは、学校以外に、自校の生徒がどれほどの勉強ツールの恩恵に浴しているのかの把握に、校長や理事長などの管理職の身分の方が無頓着である場合が多いという点なのです。
 今年は、神奈川県立川和高校が、MARCHの合格数で、日本一になったと『サンデー毎日』(2020年度3月15日号)が報じていましたが、実際に、その川和高校生を教えてみてわかるのですが、そのMARCHに合格した生徒のほとんどは、予備校や塾に通っていたことが、推測できます。川和高校の教科書・副教材、そしてその生徒の標準レベルの地頭、そして、学校の授業での教えられ方、これらを勘案し、想像的分析をしてみると、学校授業以外で受験で必要な学力が相当プラスαしたものの結果と結論づけざるをえぬのです。
 もとに戻ります。世の高校生は、メディアリテラシーならぬ、受験情報リテラシーを身に着けて欲しいのです。短絡的に、受験の成功組に自身をダブらせ、夢見る少年少女になって欲しくはありませんが、そうした夢が、レミゼラブルの挿入歌ではありませんが、<I dreamed a dream..>となっても、その教訓がまた、その後の自身の人生で生かされれば、<禍を転じて福と為す>という格言が活かされたことにもなるのです。

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